二宮和也が、世界的天才外科医・天城雪彦を演じるTBS日曜劇場『ブラックペアン シーズン2』第2話。日本に上陸した天城が、大観衆を前にした公開オペで日本デビューを飾る!そして、天城の来日には真の目的が──?
※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。
東城大学医学部付属病院。東城大の外科医としてオーストラリアから招聘された天城雪彦(二宮和也)は、ほかの医師たちのオペ室に次々と現れ、スタッフたちを困惑させていた。
佐伯外科の医師・垣谷(内村遥)が天城を“心臓バイパス手術の世界的大家”と紹介すると、天城はこれに謙遜するどころか、「それでは十分な紹介になってない。僕は、心臓冠動脈バイパス手術の進化系ダイレクト・アナストモーシスを世界で唯一扱える心臓外科医の、天城雪彦です」と上乗せして自己紹介してみせる。そして、佐伯教授(内野聖陽)が新たに立ち上げる、心臓外科に特化した専門病院・桜宮心臓外科センターを預かるために日本に来たと宣言した。
桜宮心臓外科センターのセンター長を狙っていた佐伯外科のトップ・黒崎(橋本さとし)と高階(小泉孝太郎)の2人をはじめ、佐伯外科の面々は動揺を隠せないが、天城はさらに畳みかける。日本の医療は死んだと指摘し「皆さんは今、墓場で働いている」と東城大を挑発すると、「新病院は世界トップレベルの医療技術を高額で売る。それを支払える者のみ、手術を受けることができる。それを基本原則とします」ととんでもない構想を語ったのだ。
騒然となる面々を鑑み、佐伯が「どうやらまず、天城君の実力を皆に証明する必要がありそうだ」と提案。天城は余裕綽々で「世界一の心臓外科医が日本でデビューする。それは大観衆の前で華々しく行われる公開手術こそがふさわしいかと」と不敵に逆提案し、さらに会議室をどよめかせた。
佐伯は、「渡海(二宮和也)が去り、医師たちは歩みを止めてしまった」と現状を憂い、この状況を打破することを期待し、天城の傍若無人な提案を飲むことにする。同時に、桜宮心臓外科センターを世界に誇る心臓外科病院にすることで、全日本医学会次期会長の座を争う選挙への足掛かりにしようと考えていたのだ。
天城は、佐伯の野心に加担する代わりに「助手をひとりください」と条件をつけ、世良(竹内涼真)を直属の助手として任命し、桜宮心臓外科センターを始動することにした。
一方世良は、担当患者・繁野(誠直也)の治療について頭を悩ませていた。スナイプ手術が必要な患者だが、個人で洋菓子店を営む繁野にとってその手術費用は高額で、オペか薬物療法か選択を迫られていたのだ。
繁野の娘・麻美(蘭寿とむ)は、洋菓子店の大人気商品であるアップルパイのレシピと販売権を売ることで手術資金を調達しようと考えていたが、繁野はこの申し出を突っぱねる。
孫の結衣(堀越麗禾)が繁野の店を受け継ごうと日々洋菓子作りに励んでおり、繁野は結衣の夢を潰すまいと、手術を受けず、店の看板メニューを守る覚悟を決めていた。
しかし、繁野の検査結果が出ると、その状況は思いのほか深刻で、スナイプ手術をしても治るか分からない状態だとわかる。世良は「最悪の状態です」とこぼすが、天城は「最高じゃん」と笑う。天城は自分の日本デビューを飾るオペの患者に繁野がぴったりだと目をつけたのだ。
天城は早速繁野の病室を訪れると、まだ幼さが残る結衣に「世界中の病院で毎日何千何万という患者が亡くなっている。泣こうが喚こうが、死ぬんだよ」と現実を突きつけた上で、「ただ、君のおじいちゃんを治すことができる医者がたったひとりだけいる。僕だ」。そして、「助けてください」と懇願する結衣に悪魔の儀式を投げかけるのだった。
結衣が、繁野のアップルパイをあと3日で完成させる。それができるかどうかの二者択一の賭け。涙ながらに賭けに乗った結衣に、天城は「出来が悪ければおじいちゃんは死ぬ。命がけでがんばろうね」と、悪魔の笑みを浮かべた。
賭けの結果が出ない中、天城は佐伯外科のカンファレンスの場で「7月11日の東京国際パビリオン、全日本胸部外科学会のメインプログラムとして、華々しいショーをご覧にいれましょう」と、繁野のオペを実施すると発表した。
全日本胸部外科学会は、佐伯と全日本医学会会長の座を争う菅井教授(段田安則)の維新大学が主催している。実は桜宮心臓外科センター・センター長の座を逸した高階が菅井に提案し、この公開オペを取り付けていた。菅井は、オペが成功すれば菅井の手柄に、失敗すれば執刀医・天城と東城大を失墜させることができると目論んでこの公開オペを引き受けていたのだ。
維新大学主催のイベントに東城大の面々は難色を示すが、佐伯は東城大のアピールにもなると、これを許諾した。
すると天城は、颯爽とオペに入るメンバーを指名し始める。助手に垣谷、世良、オペ看護師は猫田(趣里)……と続々指名していくのは各部門の主力メンバーばかり。天城は東城大のオペを片端から見学し、メンバーの実力を測っていたのだった。
昼夜を問わず、結衣はアップルパイの制作に挑み、ついに祖父の味を作り上げた。
天城は結衣に、「掛け金は、アップルパイの販売権を預けること。アップルパイの売上の一部を僕に支払い続ける。おじいちゃんの手術費用は、未来の君が払い続けるんだ」と条件をつけ、公開手術の患者は繁野に決まった。
運命の公開手術当日。
会場では、別の話題で東城大の医師たちが騒いでいた。維新大学の姉妹校であるテキサス医科大の外科医・安島恭也(新納慎也)がオペを解説するプレゼンターとして加わったという。安島は、オペの腕ではなく、学会で狙った相手を徹底的に糾弾し貶めることで地位を築いてきた医師で、“クラッシャーの安島”の異名を持っている。
菅井が、天城と東城大を確実に潰すために呼び出していたのだ。
大型コンサートも開催される舞台上に特設されたオペ室で、数千人の観客に見守られる異様な雰囲気の中、いよいよ天城による公開手術が始まる──。
「さあショーの開幕だ」と余裕の天城は、主義に則り開胸されるまでメスを持たないが、そこに早速安島の野次が始まる。安島は執刀医がメスを持たないオペの進行をあざ笑うが、意に介さない天城がいざ心臓手術に臨むと、助手の垣谷が手を出せないほど速く、オペは順調に進んでいく。
それでも安島は続けて、天城の術式を「テキサス医科大だったら38%の確率で術後に動脈閉塞を起こす、患者の命を危険に晒す方法」と糾弾し始め、天城はギャンブル好きだからオペにもその気質が出ていると、会場の心象操作を始める。
しかし天城は手術の手を止めることなく、「これまで数100回オペをしてきたが、閉塞率はいまだ0%だ」と返すと、38%もの確率で患者に危機を招くテキサス医科大のオペ技術をあざ笑い、クラッシャーの異名を持つ安島を逆に壊してみせた。
菅井の謀略は叶わず、天城はダイレクト・アナストモーシスで会場を魅了し、オペは成功に終わった。“神の手”と呼ばれる佐伯も息を飲んで感服する天城の華麗なオペは会場を拍手に包んだ。
天城は心臓の処置を終えると、意気揚々とオペ室を出ていく。
あとは助手が術部を閉じて終了というところだが、第一助手の垣谷が、術中見えた石灰化を開胸している今取り除くべきだと言い始めた。世良は天城に伝えるべきと静止するが、菅井が手術を続行するように焚き付け、垣谷は処置を始める。
そして…。垣谷は簡単な手術だと処置を進めるが、心臓に破裂が起き、血が噴き出してしまう。垣谷はパニックを起こし、高階が補助に入るが、出血は止まらない。心臓は見えない場所で裂けていた。
菅井は「かわいそうな患者だ。東城大に殺された」とオペの失敗を喜び、笑った。
その時、オペ室に天城が戻ってきた。慌てるオペ室にのんびりと入ってきた天城は「ずいぶん遊び散らかしてんじゃん」とおどけると、術部をひと目見るや状況を把握し、見えない心臓の裂け目を速やかに着実に縫合していき、出血を止めた。
直前まで命の危機に瀕していたオペ室は、再び安堵の空気を取り戻し、天城は「いかがでしたでしょうか。これでショーはすべて終了となります」と優雅に観客に語り掛け、スタンディングオベーションを浴びるのだった。
繁野が無事退院の時を迎え、天城は笑顔で見送った。そして結衣のアップルパイを頬張り、満足げに笑う天城。そのどちらの笑顔にも、悪魔の笑みではなく、人間の微笑みが見えた。
結衣に、掛け金として全財産の半分ではなく「未来にアップルパイで稼ぐお金の一部」を要求した天城には、悪魔的に金に執着するだけではない心が垣間見えた。そしてラストシーン、東城大病院の資料室から“医療事故調査報告書”というファイルを持ち出した天城には、まだ知らぬ目的があるのだろうか──?
佐伯と菅井の権力闘争の渦中にありながらも、飲み込まれずただ芸術的なオペ技術で魅せる天城のダークヒーロー的な活躍に早くも目が離せない!
SNS上では、猫田が米粉のアップルパイを好きな理由として「日本人の体はお米でできているから」と渡海の言葉を使ったことや、手術中垣谷がパニックを起こす中、冷静に対処する世良に渡海イズムを感じたなど、やはりシーズン1の渡海の存在感に喜びを示す声が多く、今後渡海と天城の関係が見えることを期待する声が絶えない。
ラストに見えた謎に、やはり天城には東城大や渡海との因縁があるのかとうれしい疑惑を抱き、第3話以降、謎が明かされることに期待が膨らむ──!
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